島津鉄道でしょう。

鉄道模型(Nゲージ)関連で製作したもの等々


    ◆ 既製品の改造は全て自己責任で行いましょう。     

テープLEDで自作する室内灯について

この記事の下にあるamazonアフィリエイトに出てくるようなテープLEDを利用したNゲージ向けの室内灯を作ってる方々を最近ネット界隈でよく見受けられる。

確かに両面テープで車内の天井に貼り付け、ブリッジダイオードを組み込み、集電用のスプリングを利用して導電すればまんべん無く車内を照らす室内灯が出来上がるが、一つ懸案事項がある。


それは消費電力を考慮して室内灯を作っているのか? ということである。

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夕庵式 室内灯 自作 製作 改造 取り付け 明るい Nゲージ 

 




確かにLEDは豆電球に比べて消費電力が少ない、室内灯を組み込むなら大型のパワーパックに
替えましょう。なんて事は昨今ではなかなか言われなくなった。それでも闇雲にLEDを
大量に使えば消費電力が上がるのは当然のこと。


たとえばとあるテープLEDは3つのLEDで1ユニット(25mm)となっている。



ちなみにユニットとは切り取って使える最小単位のことであり、テープLEDはこのユニットを
幾つか繋いだままの状態にして電源と繋げ、点々と光らせるのである。

リンク先の商品説明欄を見ると1m当りの消費電力は9.6ワットとのこと。
1mに40ユニットあるとして(1000mm / 25mm = 40)
ユニットあたりの消費電力は0.24ワット(9.6w / 40 = 0.24w)
12Vの駆動を想定するので消費電流は約20mA/ユニット(0.24w / 12v = 0.02A = 20mA)
となる。

さてそれでは車両に何ユニット組み込むのか?
Nゲージの20メートル級の車両なら約11~12cmの長さなので4ユニット組み込むのだろうか?

ちなみに鉄道模型(Nゲージ)で製品として売られている豆電球仕様の室内灯の1個当りの
消費電流は約60mAとなっている。
つまりテープLED3ユニットで豆電球1個相当の電力が使われている事になる。


豆電球1個分の電力で、9つのLEDが豆電球以上の光を放つことはすばらしいと思うが
しかし、手持ちの小型パワーパックで豆電球タイプと同じ、もしくはそれ以上の電力を
消費する室内灯を光らせ、そのまま走行させ続けることが出来ると思うのか?

2~3両程度の短編成なら問題ないじゃないかと言われる方がいると思うが、たしかに
短編成なら特に問題にならない。問題なのは手軽に室内灯を組み込めるということで、
素人がテープLEDを利用して自作した室内灯を新幹線等の多数のユニットを使用する車体や、
長編成内全てに組み込み、エントリータイプの小型のパワーパックで走行させようとすることにある。

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例えば、20メートル級のNゲージ車両にテープLED4ユニットで作った室内灯を組み込み、
8両編成で走らせるとする。当然1ユニット当りの消費電流は20mAであるので
1車両当り80mAとなる。

小型サイズのパワーパックの定格容量(電流)は、実際はおもちゃということで定格以上の
電流をある程度流しても許容してしまうこともあるだろうが、大体1000~1200mA程度である。

消費電流は室内灯だけで640mA(80mA×8両)、
モーターは1個当り最大で300mAを必要とし、ヘッド、テールライトはそれぞれ20mA
消費すると考えても、これだけで980mAの電流を確保しないといけない。

小型のパワーパックでは定格がかなり厳しいので、ポイントや信号機、踏切などのストラクチャーを
光らせるには別の電源を用意しないといけない場合があるだろうし、当然ながら車庫の入れ替え等で
2編成同時に動かしたり、ましてや動力車を2両連結して走らせることは不可能だ。


これは大げさかと思われるが、例えばレンタルレイアウトにて、常設されている小型の
パワーパックを利用して、テープLEDを利用した消費電力の大きい室内灯を取り付けた
車両を走らせる。パワーパックの想定アンペア以上の電流を使ってるにもかかわらず、
「たまにヒューズが飛ぶけど、とりあえず走るから問題ない」等と思いながら走らせ続けた挙句、
パワーパックの寿命を縮める原因となり、お店側が対策として自作の室内灯装着車両を
すべて走行禁止にさせてしまうかもしれない。挙句、割に合わないということで最悪
レンタルレイアウトスペースをたたんでしまうかもしれない。

最新のテープLEDはもっと消費電力が下がっている場合もあるだろうが、どれも同じような
形のテープLEDである。包装に張られている商品説明のシールを見て、エコという謳い文句と
何色に光るか程度しか確認しない素人目で、最新かどうかはもとより、問題のない消費電流か
どうかを判断するなんてまず不可能である。

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電子機器は今日の生活には欠かせない便利な物である。しかし自分で1から作る場合、
問題があってもすぐ気づけないことはたくさんある。瞬間的なショートや、規格以上の
電流が設計段階で流れる可能性があるかもしれない。その事に気づかないまま物として
完成してしまえば、突然暴走、発火し人を傷つけてしまうかもしれない。

このブログへ鉄道模型用の室内灯を自作するつもりで訪れている方も少なからず
いらっしゃると思うが、何も知らない素人状態から室内灯を作りはじめるのであれば、まず
これらの事を留意してから半田ごてを握ってほしいと思うのである。

 

追記(2014/12/14)

 

各パーツに定められてある定格を超えると、発火の危険性が高まります。
上記の事を留意したのであれば、こちらの記事も必見!


時限発火装置に化ける鉄道模型車両 その1

 


時限発火装置に化ける鉄道模型車両 その2