島津鉄道でしょう。

鉄道模型(Nゲージ)関連で製作したもの等々


    ◆ 既製品の改造は全て自己責任で行いましょう。     

LED回路における電子部品の定格について 整流ダイオード編

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LEDの扱い方だけを知りながらも、それに接続する抵抗の定格も分らない輩が多く
いるのであれば、恐らく常点灯システムにおける整流ダイオードの扱い方も、遅かれ
早かれ説明しておいた方がいいんじゃないか、と思いとりあえずで記事にしておく
ことにする。

自作 室内灯 製作 Nゲージ

 
鉄道模型での室内灯を自作するにあたって、一部の方々はちらつきがどうだ、とかいう
理由で10μF程度のコンデンサをブリッジダイオードで跨ぐように接続していると思われる
のだが、そのコンデンサを組み込むことによって、ブリッジダイオードにどれだけの電力が
かかってしまうかを一度でも想像した事はあるのだろうか?

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以前にも説明した鉄道模型におけるPWM制御を利用した常点灯システムであるが、
そのなかで特に気をつけておなければならない各パーツの定格は、CRD(定電流ダイオード)
ないし抵抗器にかかる電力(W)、LEDに流す順電流(If)、コンデンサダイオード
耐電圧(V)、そして整流ダイオードの順電流(If)となる。

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抵抗器に関しては言わずもがな。LEDの順電流(If)はLEDを扱うために勉強した事が
あるなら解って当然の事だろうから省略する。コンデンサ等の電圧(耐圧)に関しては
鉄道模型のパワーパックの出力電圧の2倍以上※1の値がまず必須となる。

それでは、ブリッジダイオード等の整流用ダイオード、はたして定格はどれ位の値に設定
しなければならないのか?
LEDに流す電流値(10~20mA)以上か?それとも安全マージンを取って数十mAか?



その答えはシンプルで、

それはパワーパックの出力電流値になる。








…この答えを言われてもまだ意味が全く理解できないのであれば、一度コンデンサ
仕組みを一から勉強し、理解するまで一切コンデンサには触れない方がいいだろう。

逆にピンときた人なら説明するまでも無い事だが、常点灯システムの室内灯を装備する
車両(編成)をレールに並べ、PWM制御で各車両に電気を供給し始めると、モーターや
ヘッドライト等の各部LEDよりも先に常点灯システムのコンデンサに電気が瞬間的に
流れ始める。


その時、コンデンサと直列に接続されている整流ダイオードに流れる電流の値は、
単純計算で

(パワーパックの出力電流値÷常点灯システムのライトの総数)※2

となり、しかもレールなどが汚れて全ての車両に電気が供給されていない状況だと、
さらなる電流が一部のコンデンサに一気に流れようとする状態になる。さらに悪いことに
常点灯システムのライトが点灯する限り、それが断続的に発生するのだ。

つまり、最悪1車両にパワーパックの全電流が集中して流れてしまう可能性が
高いので、それにより常点灯システムを組み込んだ室内灯の整流ダイオード
定格電流の値は、最低でもパワーパックの出力電流値とほぼ同じにしなければ
ならないのである。

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パワーパックの出力電流を調べてみると、メーカー既製品であれば入門用のカトー
スタンダードSやtomix N-600等は1A、レンタルレイアウトでの定番であるN-1001は
1.2A、カトー製のハイパーDともなると2Aの出力電流になってくる。


もしブリッジダイオードの定格を見逃したままコンデンサ搭載の自作の室内灯を組み込んで
しまったのであれば、一度組み込んだブリッジダイオードの順電流の値と、いつも使って
いる手持ちのパワーパックの出力電流を見比べてみるといいだろう。

鉄道模型車両の破損やそれが原因の火災事故を起こす前に、部品交換で正しい
定格にあわせる他、何かしらの予防手段を講じてから、今後も楽しい鉄道模型ライフを
送っていただきたいのである。


注)※1. PWM制御はパルス波であり、モーターノイズの影響も考えられるので、常点灯システムの
   定格電圧はパワーパックの2倍以上の部品を使用したほうがよろしいです


注)※. コンデンサ、LED等全て同じパーツで構成されている場合。