島津鉄道でしょう。

鉄道模型(Nゲージ)関連で製作したもの等々


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Nゲージ用USBライトディスプレイケースの製作

クレーンゲームでスマートフォン向けの予備充電パックをゲットしたときに、これを利用して
鉄道模型を動かすことが出来ないか、と何気なく思ってみた。

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かばんの中に忍ばせたNゲージの線路と小型車両を出先のテーブルで広げたら何となく楽しい
気がする、という一種のロマンではあったが、結局のところUSB電源の電力不足ということもあり、
出先でゲリラ走行させるならば単三電池10本分のバッテリーケースを使ったほうが幸せになれる
という残念な結論に最終的にはなっていた。

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しかしモーターは動かせなくともライト関係を光らすだけなら可能な気がしたので、とりあえず
USB電源を利用して鉄道模型向けのアイテムができないか少しやってみることにした。

 卓上ディスプレイ 卓上レイアウト 鉄道模

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試作段階で5V前後の電圧をレールに流し、自作の室内灯を組み込んだ複数の車両を使って実験したものの
やはり鉄道模型製品が12Vで設計されているということもあり、一部の車両でヘッドライトが点灯
しない等の問題が出ていた。こうなるとレールに流す電気はUSB電源の5Vから鉄道模型用の
12V近くへと昇圧させないとだめだろう。

しかしながら、物理的に電流の値を変化させることは比較的容易であるものの、電圧の値を
変化させるとなると意外と大掛かりになってくるのである。

ネットで検索して出てくるごく一般的な昇圧回路(DC-DCコンバータ)は以下の通りである。

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これはブーストコンバーターというタイプの昇圧回路で、一定の電流値へ瞬間的な変動が
出来ないというコイルの特性を利用して、電源電圧+コイル両端の電位差、つまりこの回路の
場合、理論上最大で電源電圧の2倍の電圧をコンデンサに充電し生み出す。

しかしコイルを利用するとなると発熱が気になってくるし、容量を大きくすればコンパクトに
まとめることが難しくなるかもしれない。

なんとかコイルを使わずに昇圧できないだろうか。ブーストコンバーターで実際に組む場合を
想定しながらもそう考えていると、コイルの代わりにコンデンサを使えば、似たような感じに
ならないか? と漠然的に思ってみた。

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検索キーワードを変えてさらに詳しく調べていくと、まさにそれそのものなICを発見する。

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MAX662はチャージポンプ型の昇圧コンバーターで、昇圧後の電圧も狙ったかのように
鉄道模型向きの12Vである。しかも自分行きつけの秋月電子でも売られているではないか。

しかし残念ながら生み出される電力には限りがあるようで、モーターを駆動させる事は
不可能、とはいえ1車両を光らせるだけならぎりぎりではあるが問題なさげである。

思い立ったが吉日、早速アキバまで赴き、お目当てのパーツ類を買いあさっていく。
自宅に帰ると、一緒にパッケージされていたデータシートを眺めながらMAX662を利用した
回路を考えてみた。

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線路の短絡対策はブレーカーやポリスイッチ等色々考えてみたが、各パーツへの負荷を考慮して
定電流源ICを使ってみることにした。

シンプルな物を考えるなら上の回路にある通り、2回路2接点のスイッチをそのまま使うべき
であるが、手持ちのパーツの都合もあり、普通の2接点スライドスイッチを使った回路で今回は
製作することにした。

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回路が決まれば次はジオラマである。

とりあえず、ディスプレイケース本体はダイソーで売られている小型サイズの物を使用。

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その上にレールやストラクチャ類を乗せていく。
とはいえ、ジオラマ作りはあまり慣れてはいないので今回は簡素なレイアウトで仕上げていく。

 

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レールは今回KATOのフレキを使用した。中央部分にあるユニジョイナーからレールへと給電する。

 

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このホームについては以前の記事内で作った物を参考。

電源となるUSBコードはダイソー等の100均で手に入るスマホ充電用の適当なケーブルを切断して
使用する。

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電源回路基板は裏に両面テープで貼り付け、配線コードもバラバラになりどっかに引っかかって
切れたりしないようビニールテープ等で完全に隠す感じで貼り付け固定していく。

 

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配線が終わってUSB電源を入れる。

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カトー純正の室内灯を付けたE231系を光らせてみても違和感なく綺麗に光っている。
この状態でレール間電圧を計ってみると、各部の電圧降下の影響もあり10.2V前後となっていた。

せっかくだからと色々な車両を乗せて実験してみることに。

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・まずモーター車は乗せても電気が全く点かない。
当然モーター自体はびくともしてないが、微弱な電流で負荷をかけてる状態であり、故障の原因とも
なりえるので乗せるのは基本NG。

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・豆電球を使用した車両はディスプレイ側で許容電流値を抑えてることもあり、とりあえず乗せても
問題は無いと思うが、当然ながらLEDと比べて光が暗めである。

しかも走らせる時と比べて長時間点灯しつづける状況下で、どれだけ耐久性があるかは分らない。
なので豆球ライトユニットを消耗品と割り切れないのであれば、出来るだけオールLEDの車両で
楽しみたいところである。

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電流の流れる方向を色で判別するよう土台の下にチップLEDを仕込み、導光棒で
光るようにしてみた。

 

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その後USB予備充電パックで数時間ほど接続テストをし、特に問題ない事を確認して完成。
M車への対応が今回うまく出来なかったものの、タイマーIC等を利用して給電方式をPWM化すれば
モーターに負荷をかけずに室内灯を点灯できるかもしれないので、これは今後検討すべきだろう。

 

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ちなみに、この回路を使えば、鉄道模型専門店などで委託販売されているような卓上Nゲージ
ジオラマへも流用が出来そうな感じ。
しかし複数の車両を使う場合は昇圧コンバーターを増設する必要がありそうではある。


回路作成:BSch3V