島津鉄道でしょう。

鉄道模型(Nゲージ)関連で製作したもの等々


    ◆ 既製品の改造は全て自己責任で行いましょう。     

LED回路における電子部品の定格について 抵抗器編

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何かしらのLEDを使ったモノを設計するにあたっての、LEDそのもののの光らせ方については、
LEDを含め各パーツの定格等から割り出せると思うのだが、こと、抵抗器の選定に関しては、
鉄道模型のヘッドライトをきれいに光らせたいだけの輩にとっては、あまり重要視されてない
ような気がする。
Nゲージ ライト基板 改造 ヘッドライト TOMIX KATO マイクロエース GM グリーンマックス 電球色LED

 

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一番簡単かつ安全にLEDを光らせる方法は、電池の両極に抵抗器とLEDを、正しい向きで
直列に繋げることである。

LEDパーツでの改造をされてきた方々にとっては当然わかりきった事ではあるが、上記の
図の状態において、LEDと抵抗器の両極にはそれぞれ異なった電圧がかかっており、
基本的にLEDの定格VfがLEDに、電池の電圧からLEDのVfを引いた数値の電圧が
抵抗器にかかる。

そこから回路に流れる電流値を抵抗器にかかる電圧と抵抗値によってはじき出し、LEDの
許容範囲(If-0mA間)で調整する。ここまでに関して、LEDの基本的な知識としては十分では
あるのだが、実際にLEDを使った実用的な回路を製作するのであれば、これだけの知識では
不十分と言わざるを得ない。しかも物理の授業をまともに受けてない素人はもとより教科書の
知識がある人でも、これ以上のことを考える人は意外と少なかったりする。

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例えば鉄道模型でヘッドライト基板を作るとして、12Vの電源電圧に対し定格がVf=1.9V、
If=25mA(max)のLEDと470Ωの抵抗器を直列に繋げるとする。

LEDに流れる電流値を計算すると、

(12V-1.9V)/470Ω≒0.021A

となりLEDの定格であれば問題無さそうである。

さてその場合接続する抵抗器はどういう形のものを使うべきなのだろうか?


中学の技術の授業でラジオを製作する際に触った虫のような形をしたものなのか、それとも
2012サイズのチップタイプなのか?
それを知るためには、一度抵抗器の定格を覚えなければならない。


もし抵抗器パーツをアキバのガード下などの専門店で購入したことがあるならば、一度それが
置かれていたお店の、棚に書かれた数値を思い出してほしい。抵抗値や値段以外にも1/4、
1/6といった分数が書かれていたはずである。

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抵抗器の定格で特に重要視するのはワット(W)である。つまり抵抗器の両極にかかる電圧と、
抵抗器に流れる電流を掛け合わせた数値は、その定格以下に常に設定しなければならない。

もしわずかでも定格を超えてしまったら、抵抗器は強く発熱し、いずれ断線、最悪発火して
しまうだろう。


定格電力を超えると抵抗器に何が起こるのか?『発火する抵抗器』 - YouTube

先に示した例だと、抵抗器にかかる電圧と電流はそれぞれ10.1V、約21mAなので、ワット数は
約0.212W、つまり使用する抵抗器の定格は1/6(0.16)WだとNGで、1/4(0.25)WならOK、
ということになりそう…。

なのだが、本当にそれでいいのだろうか?

実は抵抗器を含め、各電子パーツには温度やロットによる許容差というものがある。
計測時の気温や個体によっては微妙に定格が変わることもあり、例え計算上は定格以下に
設定していても、パワーパックの内部構造を含めた他のパーツとの複雑な干渉により、想定
以上の電圧、電流が一瞬でも流れてしまう可能性が否定できない。


抵抗器の電力値は電圧の変化にシビアで、わずかな電圧の上昇が連動して上昇する電流値
との乗算で一気に跳ね上がってしまう。なので、理想は抵抗器の定格の半分以下の数値
で、多くても70%までで※1設定するべきなのである。


ネット上で散見される改悪されたライト基板の場合は最悪発火までには到らなくとも、熱や
煙で燻され車体が変色、変型してしまう可能性があるだろう。1セット新品で2~3万円、
さらにはプレミア化するものもあるなかで、つまらない自分の無知でそれらを失う事はとても
痛々しいことだ。

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↑定格以下にしてあるが製作者自ら引くぐらいにヘッドライトを光らせた例。


そもそもLEDは定格近くで使用しなければいけないという決まりは無い。昨今販売されて
いるLEDは性能が上がってきているので、定格半分程度の低電流でも十分綺麗に光って
くれるはずである。

ライトユニット等を自作、改造する方々は、レンタルレイアウトや走行会等の公の場で思わぬ
迷惑をかける前に、節度を持って安全に設定した値でLEDを光らせていただきたいと思う。


追記(2014/12/17)

注)※1. 追加の補足であるが、抵抗器は定格の半分程度であっても高い熱を発生させて
      しまう場合があるようだ。例えば車両に取り付けられている密閉された黒いライト
      基板ケースのような、放熱する余地が殆んど無い場所に基板が取り付けられて
      いる場合、電気がその抵抗に流れ続ける限り、熱が少しづつ抵抗周りにどんどん
      溜まり、終にはケース自体が高温となってしまうということなのだ。

      何かしらモノを作る上で当たり前の事ではあるが、基板の設置状況次第で熱の
      こもり方が大きく変わってくるのであれば、定格の70%以下だからといって安心
      せず、まめに発熱状況を確認し、酷く熱がこもる様なら抵抗の数値を変える等、
      作った後も細かい対処をしていかなければならない。

 

ご協力:鈴木 貫太郎様