マイクロエース製品のチューニング その2
続き
車両を分解しモーターやライト周りまでの各部電気接点や車輪を全てコンパウンドで磨き、仕上げにIPAを使って汚れを拭き落とす。
他社製品ならばここまで整備すればちらつきに関しては完全に片付くはずなのだが。やはり悪評高きマイクロエースである。この時点で色々手をつける気力が無くなってしまったが、とりあえず問題点探しとして旧1000形のボディや台車を分解、組み立てを繰り返す形で、色々と触ってみる。
四苦八苦しながら何となくではあるが、室内灯のちらつきも含めて集電シューと車輪の接点に
問題があるような気がしてきた。
レール上の車両の妻面を軽くはじく様に動かすとちらつくが、上から軽く押し付けながら動かすとちらつかなくなるのだ。そこで集電シューと車輪の接点を徹底的に磨き綺麗にすることにした。
コンパウンドの素材も表面の汚れを削るための荒目ではなく、プラ素材の艶出しとして用いられる仕上げ目を使うことにした。つまようじを集電シューのくぼみにねじ込みながら磨いていく。
車輪についても精度が比較的高いというKATO製の物に交換することを考えてみた。
たまたま313系5000番台向けの動力車用のギア付き車輪があったので、試しにこれを使ってみることにした。車輪軸の長さが気になるところではあったが、これはマイクロエース製の台車に問題無く収まるようである。
施工の終わった車体を裏返しにしてKATO製の車輪を指ではじく。すると滑らかに回転していくではないか。しかし手持ちの車輪の数は限られていたので、今回は台車の車両内側の車輪だけ交換していくことにした。交換しなかった車輪も集電シューとの接点を中心に仕上げ目のコンパウンドできっちり磨いていく。
とりあえず4両編成分を仕上げ部屋の固定レールで試走、するとライト全般のちらつきはなくなりスムーズに走ってくれているではないか。気分もノってきたので一気に残りの車両に対しても同じ施工をしていく。
その後動力車への死重の追加搭載や、レールの継ぎ目でよく引っかかる底面の加工を済ます等して全ての車両の整備を終わらせる。6両編成を部屋の固定レールで試走させ、坂道でも問題なく走破できる事を確認した。
後日、近場のレンタルレイアウトへ足を運んでいた。
30分無料券が期限切れを起こしかけてたこともあるが、たまには手持ちの車両をずらりと並べてみたり、新しく整備したマイクロエースの京急旧1000形を広いところで走らせたいという
気持ちもあったのだ。
幾つかの車両を並べ旧1000形の箱にも手を伸ばす。
車両の向きや並びを気にしながら目の前のレールに置かれたリレーラー上に車両を一つずつ載せていく。すると何となく違和感を感じた。
…たぶん気のせいだと自分に言い聞かせながら8両全てをレールに乗せ、手元のパワーパックのスイッチを入れ、ボリュームを回す。そしてゆっくり旧1000形が動き出す…。
公式レースのレギュレーション変更でハイパーダッシュモーターが使用可能になる事を知り、一から新しくマシンを作ることにした。
仮組をし電池を入れスイッチをいれる、すると耳慣れないモーターの甲高い音が鳴り響く。
タイヤに指を押し付けると甲高い音はぎゅるぎゅると大きな音となる。ハイパーダッシュだからパワーはすごいな、チューン系の比じゃない。そう考えながらさらにタイヤを押さえつけていく…
……
旧1000形はカーブにさしかかろうとしていた。苦し紛れに鳴くマブチ製TomixM-5モーターはさらに存在感をアピールする。そのあからさまな挙動の変化に思わずボリュームを時計反対側に一気に回す。
すぐさま手元まで電車を戻し2両減車し6両で走らせる。さっきよりは走りがましになったが、しばらくすると今度はキュルキュル音がかすかに聞こえてくるようになる。
自宅に帰ると旧1000形を箱から取り出し部屋の固定レールに乗せる。そして試走させてみると、先週までは6両編成でも上れた坂が何故か4両編成でも空転し上りにくくなっている。
さて、これ以上どうするか、同じ事を繰り返してもらちが明かない。綺麗に清掃してもまたすぐ接触不良となってしまうのだから。いっそ集電シュー回りだけKATOのシステムをごっそり移植しようかとも考えた。しかしもう1セットの中古が買えるだけの出費は出したくない。
全ての調整を一から仕切り直すしかないな、そう思い旧1000形を箱に戻す。現状、即実行できそうな手立てはない。そうなっては深く考えても無駄である。半ば諦め感覚でしばらく放置を決め込むことにした。
つづく→マイクロエース製品のチューニング その3
撮影協力:GREENBOX